[昭和59年]三菱・ミラージュ「エリマキトカゲ」が走る。

エリマキトカゲ

私は昆虫はイイのですが、トカゲや蛇は、からっきしダメなんです(汗)

子供の頃、トカゲの尻尾が切れ、尻尾だけプルプル動くのを見ながら
大笑いする友達が、どうにも信じられませんでした(汗)
時に下校中の草むらで、最大の敵、蛇に出くわす時があります。
その驚きと来たら、この世の終わりと思うほどですよ。
蛇やトカゲを触っている友達を、気持ち悪いとさえ思いましたね(汗)

1983年(昭和58年)4月から始まった「わくわく動物ランド」は、
関口宏さんの司会で、世界の動物や昆虫を話題したクイズ番組でした。
その番組でお馴染みだったのは、動物学者の千石先生です。
毎回にこやかな顔で、動物や昆虫を紹介する人のイイ先生なんですが、
千石先生…実は、爬虫類・両生類の専門家だったんですね。
グロテスクな爬虫類をいとも簡単に手に持ち、そして、頬ずり…。
そして、にっこりと笑うんです(汗)

その笑顔を見ていると不思議なもので、
蛇やトカゲを触る人を気持ち悪いと思い込んでいた私が、
うわわわ~と目を細めながらも、千石先生のうんちくに耳を傾けているんです。
爬虫類や両生類にも生態があり、生きる知恵があることを
知らず知らずのうちに千石先生は教えてくれたような気がします。


先生は、子供の時、どうして、蛇は気持ち悪いとか恐いとか、
不平等な扱いを受けているんだろう…。と疑問を持ちました。
「無知が偏見を生んでいる!」そのことに気付いた千石少年は、
「正しい知識を皆に伝えたい」と立ち上がり、爬虫類に関する本すらなかった時代に
爬虫類の研究を始め、多くの賞を受賞します。

そして、千石先生が番組で紹介した一匹のトカゲが、
日本中で、大ブームを起こしましたね。



1984年(昭和59年)。三菱のミラージュのCMに起用された「エリマキトカゲ」です。
首のひだを大きく広げて、走る姿が可愛くて、
キャラクターグッズは元より、歌まで作られ、デパート等で展示もされました。
爬虫類がアイドルを越える人気者になったのは
前代未聞ですよ。

爬虫類が気持ち悪いだけの存在ではない事を、このブームは教えてくれました。

しかし…エリマキトカゲがひだを広げるのは、危険を感じて威嚇するポーズです。
可愛いからと、人間の都合でひだを広げさせられたのでは、
エリマキトカゲはストレスを感じて弱ってしまいます。

良かれと思って、みんなにエリマキトカゲを紹介したはずが…
千石先生の意とは違う方向へ、時代は流れてしまったのかもしれませんね。

私は今でも、爬虫類は触れませんが、
醜くて、忌み嫌うような気持ちは無くなりました。

CMで、撮影されたエリマキトカゲは、撮影後に死んだと聞きました。
醜いものがあるとするなら…それは、見掛けて判断する無知な心…
生態や個性を理解せず、利己的に押しつける心のような気がしてなりません。

「生き物の中で、ヒトが一番偉いだなんてとんでもない。」
そう語った千石先生は、2012年2月、癌のためお亡くなりになりました。


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