[昭和46年]千の顔を持つ男。覆面レスラー「ミル・マスカラス」

ミルマスカラス

昔ほど、格闘技やプロレスを見なくなりましたが、
10代・20代の頃は、テレビを食い入るように見ていましたね。
ジャイアント馬場やアントニオ猪木が毎週、
ゴールデンタイムのプロレス中継でパワフルな戦いを繰り広げていました。

勧善懲悪を元にした特撮ヒーローの強さとは違い、
プロレスの面白さは、筋肉で武装したリアルな男の戦いです。
主張がまかり通る事を正義と言うなら、
相手をマットの上にスリーカウント押さえた者が正義です。

相手を流血に追いやる悪役レスラーも、勝てばチャンピオンになれます。
歯がゆい思いをしながら、手に汗を握り、プロレスを見ていましたよ。

1971年(昭和46年)2月。力業が主だった今までのスタイルとは違い、
スピーディーさと空中戦と言う独特のスタイルを持ったレスラーが参戦してきました。
「千の顔を持つ男」と呼ばれた覆面レスラー、ミル・マスカラスです。

白と黒のメリハリの利いたマスクデザインは、
子供心に特撮ヒーローを越える格好良さがありました。
覆面で素顔を明かさない神秘さも、特撮ヒーローそのものです。
覆面の下から伸びる筋肉は、ボディビルで鍛えただけあって、見事な筋肉美。

そして…必殺の~
フライング・クロス・チョップ!!
ダイビング・ボディ・アタ~~~ック!!


どう考えても、特撮ヒーローの必殺技でしょ(笑)
ミル・マスカラスの格好良さはそればかりではありません。
入場の時には、テーマ曲の「スカイ・ハイ」が流れ、颯爽と登場します。
そして、「千の顔を持つ男」の由来である、
オーバーマスク(本マスクの上にもう一枚)を試合ごとに、観客に投げるんです。
ショーアップされた演出に、当時の子供はメロメロですよ(笑)



「覆面を被る」とは、虚勢や威圧のような負のイメージがありますが、
素の自分とは異なる人格に成りきり、
素顔では出せなかった実力を、発揮できる効果もあると言います。

しかし、今の覆面レスラーは、商業的なイメージアップのみを
考えてるような気がしてなりません。

覆面レスラーは、メキシコに多く存在したと言います。
昼間は他の職業に付き、夜に試合を行う為、正体を隠す必要がありました。
ライセンスの必要な海外で、非合法に試合をするために覆面を被ったとも言います。
仮面を被る事は、先入観無く、レスラーの力量のみを
観客にアピールする行為かもしれません。


当時のプロレスは、どこか外人レスラーを悪役に見立てていましたね。
正義の日本人が、悪の外人を倒す。
そんな図式が、日本人レスラーを熱烈に応援する理由でもありました。

しかし、覆面を被ることで、外人であろうがなかろうが、
強くて格好良ければ、誰でもヒーローになれる…
それをミル・マスカラスは教えてくれたような気がします。

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